シャフト、ヘッド、それぞれにアウトサイドイン軌道のスライスに対する選択基準があります。
簡単に言うと
・シャフトはスイング軌道とリリースのタイミング
・ヘッドはインパクト時のフェース面の向き
に対して強い影響を及ぼします。
まずシャフト。
アウトサイドイン軌道のスライスを改善する場合は
「手元と先端の二箇所の剛性が相対的に低いシャフト」
が有効です。
シャフトのしなりは波のように伝わります。
ダウンスイングの始動時には手元がしなり、徐々に先端にしなりが伝わって行きます。
釣り竿で針を遠くに投げる時のしなり、ムチのしなりと同じで、ゴルフシャフトのしなりも手元から先端に向かって波のように伝達します。
アウトサイドイン軌道でスライスするゴルファーの場合、ダウンスイングの指導時のタメが弱くなります。
手元の剛性が相対的に低めのシャフトにすることで、切り返しの時にシャフトのしなりが大きめになります。
これが、いわゆる
「シャフトがタメを作ってくれる」
状態です。
シャフトがタメを作ってくれるので少しインサイドへとクラブヘッド軌道が修正されます。
次にインパクト直前。
先端がしなるので、フェース面が右を向くのを軽減できます。
反対に、手元と先端が硬いシャフトをアウトサイドイン軌道でスライスするゴルファーが使うとどうなるか。
切り返しの時、手元が硬いのでシャフトがタメを作りません。
これにより、よりアウトサイドからクラブが降ります。
ダウンスイング中盤ではシャフト中間部の粘りを感じますが、インパクト前では先端が硬いのでフェース面が左を向きにくくなります。
左を向きにくくなることは大きな問題ではありません。
大きな問題は、手元の硬さです。
スイング軌道への影響が大きいので、手元の硬さは重要になります。
また、手元が軟らかくなることで作られるタメにより、クラブヘッドが少し遅れることでインパクト時にクラブヘッドが手元よりも先行しすぎてしまう問題も軽減されます。
次にヘッド。
ヘッドの選び方は、インパクト時のフェース面の向きに影響を及ぼします。
基本的に
・ネック軸周りの慣性モーメントが小さい（一般的には、いわゆる重心距離が短いヘッドほど慣性モーメントが小さくなる傾向にある）
・ライ角がアップライト
・重心角が大きい
のものほど、フェース面が左を向きやすくなります。
特に有効なのは、ライ角です。
ライ角は、スイングによる操作に対する反応とは関係なくフェースが左を向きますので、確実な効果があります。
重心距離に関しては、フェースをターンさせようとする動作に対し、反応が良くなるかどうかの要素です。
フェースをターンさせようとする動作を助ける要素です。
重心角はスイング中、フェースが開きにくくなるという要素です。
ゴルフクラブヘッドはダウンスイング時には抵抗によってフェース面が開こうとします。
重心角が大きくなるほど、開こうとするエネルギーが小さくなります。
このように、シャフト、ヘッドの機能を考えてクラブ選択するとアウトサイドイン軌道のスライス防止に有効なセッティングを行うことが可能です。
シャフトの先端の軟らかさに関しては、理想を言えば硬めの方が良いです。
先端をしならせてボールをつかまえる考えはアウトサイドイン軌道のスライス改善にとって根本的な解決とは少し違うためです。
また、ヘッドのライ角も同様です。
アップライトなライ角に過度に頼ってボールをつかまえるとフェースターンの技術習得の妨げになります。
ですが、現実的に考えると、シャフト先端の走りとライ角によるつかまりは有効なので、スコアで１００を切っていない段階にある場合、頼った方が良いと考えます。
最初から理想を追求しすぎると挫折する可能性が高くなってしまいますし、あまりゴルフが楽しくないものになってしまうと感じます。
from 元ゴルフ研修生クラフトマンのゴルフ相談ブログ