20180227

ゴルフ惑星: 答えは風に吹かれて



強風の中のゴルフは
博打みたいでつまらない、
と思うときがあります。
特に冬の風は寒さ倍増で
心が折れてしまうのも
やむを得ないものです。

『どのくらい道を歩めば、
人は人として認められるのか?』
頭の中で、
ディランが唄っていました。
30代までは
ゴルファーは風と戯れて
一人前という知識を
理性で実践しようと
努力をしていたような気がします。
40代で肩の力が抜けて、
やっとこの数年、
風の中のゴルフを
楽しむという意味が
わかってきた気がします。

ある作家の小説で、
ディランの『風に吹かれて』を
初めて聞いて感動している人に
「誰が唄っているんですか?」
と聞かれた男が
「神様の声だよ」
と答えるシーンがありました。
(うろ覚えですが、そんな感じの)
コレには色々な伏線があって、
主人公が中学校の時に、
大好きだった女の子が
ディランが好きだという噂を耳にして、
ギターの弾き語りを
必死に練習して歌えるようになって、
その女の子の前で
披露して告白するのですが、
その楽曲も
『風に吹かれて』なのです。
「誰の歌?」
彼女はディランを知らず、
告白は失敗する、
というオチなのですが、
神様を知るきっかけは
ある意味で常に神聖だという
横糸的なエピソードなのです。

『答えは風に吹かれている』
ありとあらゆる情報を収集し、
小っこいボールを
棒切れみたいなクラブで
全身全霊をかけて
僕らは
どうして打ち続けているのか……

ドラマチックや
ロマンチックなんて
夢幻と馬鹿にして、
現実主義者を気取っているのに、
一喜一憂だけでは済まないほど
僕らは
感情を露わにしているのか……

ゴルフの神様は
風に宿るのかもしれないと
気付かされるのも
ゴルフの面白さで、
冬ゴルフという修行で得る
真理だと信じることにします。

ディランは21歳で
この楽曲を書き、
「答えはここにある、とか、
間違いない答えはこれだ、とか
断言できるヤツを信じないし、
本や雑誌、ましてやテレビの中にも
答えなんてありはしない」
とコメントしました。
「風の中に答えはあり、
かつ、紙切れみたいに
舞っている。
それは落ちてくることもあるけど、
誰も拾わないし、
読みもしないから、
また、風に吹かれて
飛んで行ってしまうのさ」
と、楽曲の意味を
説明したのです。

ちなみに、ディランの
『風に吹かれて』は
1963年リリースの楽曲です。
僕が生まれる前には
世界に神様の声は
届いていたわけです。
半世紀以上経っても
未だに人々の心を打つのは
素晴らしいことですが、
同時に人類が進化していない
証明のような気がして
たなびく白旗な気分にも
なったのでした。 

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