【質問】
「倉木様
以前質問させていただきとても参考となる回答をいただきありがとうございました。
今回はフェアウェイウッドのチップカット量と手元剛性について質問させてください。
現在ツアーADのDIシリーズでウッド系を統一させようとしてます。
具体的にはドライバーをDI6S、3WをDI7S、5WをDI8Sにしようとしています。
ドライバーは200gのヘッドでチップノーカット45インチ程度となりました。
3Wは212gのヘッドでドライバーと手元剛性を同じくらいにしようと思い、
バットカット量を同じくらいにしようとする(縞々のロゴ位置を揃える)と
逆算してチップカット量が1.25インチ程度となります。
また、5Wも同じようにするとチップカット量は2.0インチ程度となります。
(5Wはパラレル長を超えていると思うので現実的ではないと思いますが)
倉木様の以前のお話ですと、3Wで0.5インチ、5Wで1.0インチが一般的と
記憶していたため、上記のチップカット量は若干多いような気がしました。
これらのチップカット量は不自然ではないでしょうか?
または5WはDI8Xにした方が良いでしょうか?(その場合のチップカット量は?)
あるいは手元剛性を揃えるという考え自体が間違っているのでしょうか?
もう一点、7Wを入れようと考えていますが、シャフトは何が良いか
アドバイスをお願いします。
DIシリーズに似ているスチールシャフトが良いと思っています。
以前はDG SLのウッド用があったようですが廃盤となったようです。
DI8より重くて剛性が似ていればカーボンもありかとは思いますが、
出来ればスチールを入れたいところです。
以上よろしくお願いします。」
【回答】
剛性とはシャフトの曲げ剛性のことであり2mm曲げるのに必要な荷重で表されます。
シャフトの曲げ剛性はクラブ長が短くなるほど数値が高くなることで相対的な剛性が揃います。
バットカット長を同じにして剛性を揃えようと考える発想は非常に考えているなと感じます。
ただしそれが有効になる条件はドライバーとフェアウェイウッドのシャフトが同じものの場合です。
この場合は剛性の流れ、振動数の流れは最適となります。
シャフト単体の重量の流れは短い番手ほど軽くなってしまうので悪化します。
今回は1WにDI6S、3WにDI7S、5WにDI8Sということなのでバットカット長を揃える方法は有効ではありません。
理由はカット前のシャフト剛性に違いがあるためです。
6Sよりも7Sの方が剛性が高く7Sよりも8Sの方が剛性が高いためです。
そのため剛性の流れを揃える場合は6Sよりも7Sのバットカット長を少なめにし(しま模様がグリップに寄る)7Sよりも8Sの方がバットカット長を少なめにすることで流れが妥当となります。
そうすると3Wは1.0インチカット、5Wは1.5インチカット程度が妥当になる場合が多いです。
「3Wで0.5インチ、5Wで1.0インチが一般的」というのはメーカーが組んでいる場合はこのようなチップカット方法が多いという意味です。
3Wで0.5インチ、5Wで1.0インチだと大抵の場合は1Wに対して剛性が低くなりすぎてしまいます。
シャフトの剛性の流れを合わせるには
・クラブ長
・シャフト単体長
・クラブヘッド重量
・グリップ重量
などを考慮した上で
・カット後のシャフト曲げ剛性を現物計測する
という方法が最適です。
ですがこのような方法は手間がかかりますし膨大なカット後シャフト曲げ剛性測定データが無いと実施できません。
今回の相談の場合もソール、ネックを含めた長さやクラブ挿入長が分からないので明らかなことは言えないのですが3Wは1.0、5Wは1.5インチチップカット上がりが妥当になります。
このようにお話しすると気になって迷ってしまうかもしれませんがそれほど神経質になるものでもありません。
(ただしメーカーが組んでいるものは曲げ剛性の流れを無視した適当なものである場合は大半なので良くありません)
5WはDI8Sで良いです。
どちらかといえば3WがDI7Xの方が良い可能性が高いです。
7WはGシリーズレッド90Sが妥当です。
DI9Xもありますがどう加工しても手元、先端、どちらかの剛性が高くなってしまいますのであまりおすすめしません。
余談ですがDIは高弾道打ち出し低スピン弾道をシャフトのしなりで実現するために設計されておりインパクト時にクラブヘッドが浮きやすいので地面から打つクラブ(フェアウェイウッド)でトップしやすくなります。
ボールをあまり左足に寄せないようにしてハンドファースト+ダウンブローで打てるタイプであればトップしにくくなります。(松山プロのようなスイングのことです)
ハンドファースト+ダウンブローのスイングのゴルファーがスイングを変えることなく(あおることなく)打ち出し角度が高めでバックスピン量が少なめの弾道を打つことができるシャフトなのでその要求にあっていればフェアウェイウッドもDIで良いと考えます。
from 元ゴルフ研修生クラフトマンのゴルフ相談ブログ