20180913

元ゴルフ研修生クラフトマンのゴルフ相談ブログ: ドライバーヘッドのネック長差とカット後シャフト長の違い、カット方法、剛性変化に関するご相談です

【読者様からの質問】
「倉木様
ブログ更新楽しみにしています。
いつも役立つ情報、アドバイスありがとうございます。

ドライバーやフェアウェイウッドのシャフトが現在使用モデルが気に入ってる場合、ヘッドだけを変える時にネックの長さがかなり違うモデルを新しく選んだ時はどういったチップカットやバットカットの方法をしたら良いのでしょうか?

例えば今使っているヘッドのネックが短いとします。
長めのネックのモデルを使用(1cm強違う場合など)
すると、同じレングスにすると実使用するシャフトの長さも1cm違ってきます。(ヘッド重量や大体のヘッド特性、接着寸が同じだとします。)

バットカット1cm多くなってもあまりフィーリングや剛性感などは変わらないものなのでしょうか?
バットカットの量を同じにしてチップカット調整なのでしょうか?
この場合シャフトを再利用の場合は対応できますが逆の場合は同じシャフトを新品購入しての対応しかなくなり出費がかさみますね。
(熱を加えて抜く訳ですから再使用はしない方が無難だと思いますが。そこらへんの事もお聞かせ下さい。)

特にドライバーはシャフトは気に入ったモデルを長く使い、ヘッドを変えるタイプですので、ちょっと気になりました。

フェアウェイウッドなどやアイアンなどのネック長さ違いについてもアドバイスよろしくお願い致します。」



【倉木真二の回答】
これは一言でのアドバイスが難しいのですが、基本的に

・チップカットのみで長さ調節すれば相対的な剛性は同じ
・バットカットすると剛性が下がる

ということになります。

例えば、ネック長(ソールからネック端まで)が2.5インチのドライバーにカット後長さ44インチのシャフトを1.25インチの挿入長で仕上げたとします。
(シャフトのカット方法はバットカットのみで仕上げたとします。)
グリップエンドの厚みは0.25インチの場合、グリップエンドまでのクラブ長は45.5インチになります。
このクラブをAとします。
このクラブからネック長が3.0インチのヘッドにリヘッド(シャフト差し替え)をし、シャフト挿入長を同じく1.25インチ、グリップエンド0.25インチの場合、そのまま挿せば46.0インチとなります。
このクラブをBとします。
Bクラブを45.5インチに仕上げたい場合は

・シャフト挿入長を増やす
・シャフトをカットする

のいずれか、または両方を実行する必要が生じます。
仮に、シャフト挿入長が1.25インチ以上取れずシャフトカットで対応するとします。
この場合、

・バットカットする
・チップカットする

のいずれか、または両方を実行する必要が生じます。
この時、大半のクラフトマンは単純にバットカットのみ実行します。
バットカットした場合、BクラブはAクラブよりもシャフト曲げ剛性が相対的に低くなります。
基本的にはチップカットのみで仕上げることで相対的な剛性はほぼ同等(厳密にはほんの少し高め)に仕上がります。
が、剛性分布は少し異なります。
細かい話をすると、ほんのわずかに弾き系の剛性へ変化します。(本当に少しですが)
なので、シャフトの種類によって、チップカットとバットカット、両方を行うことで、変化を小さくできます。
どちらかと言えばチップカットが多め、バットカットはほんのわずか、というケースが多いです。
バットカットのみで仕上げると全体の剛性が低下しつつ剛性分布が粘り系(中間部分が相対的に低い)へと変化します。
迷ったら「先8:元2」程度の配分でカットしておけば問題ありません。

余談ですが

・チップカット
・バットカット
・シャフト重量
・シャフトフレックス
・ネック長
・シャフト挿入長

これらの要素を組み合わせることで、ドライバーからフェアウェイウッドの流れにおいて狙った特性を作れます。
チップカットを多めにしたSフレックスシャフトをフェアウェイウッドに装着する、チップカットしないでXフレックスをフェアウェイウッドに装着する、など、様々な加工方法、それぞれに特性があります。
これらの実測データを蓄積することが、クラフトマンの価値の一つだと考えます。

さらに余談ですが、ドライバーの重心位置はフェアウェイウッドよりも0.5インチ高いので、乱暴にいうとドライバーの実質的なクラブ長はフェアウェイウッドよりも0.5インチ短く見る必要があります。
(厳密には少し違いますが)

例えば、45インチのドライバーと43.5インチのフェアウェイウッドがあった場合、クラブ長の差は1.5インチではなく実質1.0インチになるということです。
なのでこの場合は1.0インチの差で剛性のフローを考える必要があるということになります。


 
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