【質問】
「倉木様
いつも楽しく拝見させていただいております。クラブの相談ではなくスイングの相談ですがお教えいただければと思います。
58歳男性、身長164cm、体重66kg、ゴルフ歴3年(健康のためにと始めました)飛距離は200ヤード(スライス)程度です。
インターネットのレッスンを見ているとボディターンは悪い。腕を振りなさいとの教えが多い、と。
私は腕を振るようにするとスライスしか出ません。テイーチングの先生からはボディターンを教えられ混乱をするばかりです。
何が正しいのかが、見えなくなってきています。
そこで質問ですが、腕を振る、ボディターンは悪い、ッボディターンをする、どちらが正しいのでしょうか。
漠然としていてすみません。ぜひご指導いただければ幸甚です。」
【回答】
スイングの質問は大歓迎です。
読んでいる方、皆の参考になるからです。
(クラブ選びの相談は普遍性があまりないのであまり参考にならないことが多いと思います。)
これは非常に良い質問だと感じます。
「手で打つな、ボディーターンをしろ」
「ボディーターンをするな、腕を振れ」
この2つの主張のどちらが正しいかということですが結論から言えば「状態による」となります。
一つ例えを出します。
理想のゴルフスイングを「40度の湯」とします。
「40度の湯にするのに正しいのは液体を冷ます温めるのどちらか?」という議論があったら何と回答するか。
当然ですが「液体の温度による」と回答すると思います。
つまり液体の温度が40度以下なら温める必要があるし40度以上なら冷ます必要があります。
ボディーターンが良いか腕をしっかり振るのが良いかの判断はこれと全く同じ話です。
かつ具体的な判断基準に従って対応できます。
具体的に説明すると下半身リードがまだできておらず手打ちになっているゴルファーはまずボディーターンをマスターする必要があります。
手打ちの具体的な定義はインパクト時にクラブヘッドが手元よりも先行しスイング軌道がアウトサイドイン軌道になっているということです。
これはブリヂストンサイエンスアイフィールドという計測器で確認できます。
このようなインパクトをするとボール初速が遅く打ち出し角度が高くバックスピン量も多い弾道となり飛距離がとんでもなく落ちる上にスライスします。
ミート率も1.25くらいしか出ませんしドライバーのバックスピン量で5000〜6000rpmくらいでスライス回転が1500〜2000rpmくらいになります。
切り返しで下半身が使えず手で振り下ろしてしまうことが原因でアウトサイドイン軌道、ヘッドファースト、になってしまいます。
下半身リードのボディーターンが出来るようになるとハンドファーストのインパクトができるようになってボール初速が高く打ち出し角度とバックスピン量が減少して最適化され飛距離と方向性が格段に改善します。
しかししばらくすると体の回転が勝りすぎて腕が振れなくなります。
この段階に来るとボディーターンを意識せず腕を振るようにすることが望ましいです。
ゴルフスイングで大事なのはメリハリです。
ダウンスイングのほんの一瞬だけ下半身は使えればよくその後は腕を使ってフェースをターンさせることが大事です。
そうするとクラブヘッドの反動で一瞬腰が止まり、ハンドファーストでインパクトした後にクラブヘッドが先行しつつ体の回転が付いてくる、というメリハリのある時間差の動きが大事です。
手打ちの段階ではトップの切り返しから手でクラブヘッドを走らせてしまい終始体の回転が遅れるためにヘッドファーストアウトサイドイン軌道になります。
ボディーターンが強すぎると終始体の回転が先行してしまい腕が遅れてついてくるのでインサイドアウト軌道ハンドファーストすぎる状態になります。
腕が振れないと反動が働かないので飛距離も出ませんしヘッドスピードも上がりませんしアッパー気味に入るのでダフリやすくクラブが寝ますのでインパクトのライ角がフラットになることで打点がヒールに集中しシャンクも出ますし低いフックや高く上がってもプッシュアウトという状態になります。
ダウンスイングの始動は下半身を一瞬入れる程度、その後、クラブヘッドをターンさせる。
このメリハリのある動きが重要です。
つまり、手打ちの時は切り返しの下半身を一瞬だけ入れる動きが全くできないのでボディーターンを意識すると良いです。
水の温度が低いので温める必要があるということです。
ボディーターンが強すぎる(ハンドファーストが強すぎる)段階に来たら(サイエンスアイフィールドで確認できます)腕の振りを覚える。
加熱しすぎた湯を冷ます。
このように状況に応じて最適な方法を行うことが重要です。
このことを言わず「状況問わずこれが絶対正しい」「状況問わず湯は冷ますべし」と説明しているレッスンばかりであることがゴルフ業界の情報の問題だと考えています。
状況(現状)でボディーターンが強いのか、腕の振りが強いのかを確認するベストな方法はインパクト時にクラブヘッドのハンドファーストの度合いとスイング軌道がどのようになっているかをサイエンスアイフィールドの高速カメラで確認することです。
手打ちのゴルファーが腕の振りを意識した練習をすればさらにとんでもない手打ちになるしボディーターンが強いゴルファーがさらにボディーターンを意識すればシャンク、チーピンの嵐です。
最適な練習法は状態によって変わります。
これが当然とならないのがゴルフ業界の情報の問題です。
なので、まずは高速カメラが設置されているサイエンスアイフィールドで撮影を行ってみてください。
大手の量販店に行けば設置されている可能性が高いです。
from 元ゴルフ研修生クラフトマンのゴルフ相談ブログ