先々週末は友だちとMarshall Canyon GCに行ってきました。
紅葉がきれいですね。
(南カリフォルニアですので、こんな時期に紅葉してたりします。)
コース内に、何組もの鹿の家族が暮らしている模様です。
山のへりにありまして コース全体がかなり傾いていますので、ティーショットも斜面を考えて打っておかないと全部流れていきます。
グリーン上に立ってしまうとホール全体の傾きが見えなくなってしまって、なんだかボールが坂を上る方向に曲がっていくような錯覚を起こしてしまします。
前半のパッティングはものすごく苦労しました(というか外しました)が、後半は長いのがやけによく入ってくれました。
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今年から新ルールで変更された中に、旗竿をカップに立てたままパッティングしてよい、というのがあって、みんなこれについて議論しあったりしていますが、そろそろ落ち着いてきた感じでしょうか。
PGAのツアー・プロも、まずはいち早くブライソン・ディシャンボーが『僕はなるべくピンを立てたままプレーするよ。』って表明して物議をかもしましたし、先週のトーリー・パインズで行われたファーマーズ・インシュランス・トーナメント見ていましても 2位に入ったアダム・スコットはショートパットに至るまで全部ピンを立てた状態でパットしていました。
立てたままパットした方がカップインする確率が高いのは実証されて証明済み、という空気に落ち着いてきています。
ただし、ツアープロの間でも、我々通常のゴルファーの間でも、やっぱりピンを抜いてパットしたい、という方々は少なくない様子です。
そもそもね、プレーのスピードアップのためにこのルールが導入されたのですけれども、ピンを立てたままカップインして、さらにピンを立てたままボールをカップから拾おうとする人が多いんですけど、これが結構時間かかたりします。(笑)
私としても、この議論にカーブボールを投げておこうかと思います。
まずはこちらのデータ。
イタリアのプロモリナリ兄弟のお兄さんが実験してみたところ、ピンフラッグを抜いてパットした方が有利な場合があるという結果を得ました。
このデータ、あまり出回っていませんので意外ではないでしょうか?
「Edoardo Molinari conducts pretty scientific putting/flagstick experiment — and the results may surprise you」
クリックで元記事サイトの画像にリンクしてます。
表の中で緑に塗ってある部分のデータはピンがあった方がカップインしやすいけれども、赤く塗られているデータは、ピンを抜いた方がカップインしやすい。という結果になっています。
モリナリの実験では、カップの中央にちょうどカップインするスピード、カップの後ろの淵(壁)にボールが当たるスピード、空中に跳ね上がるスピード、の 3種類のストロークの強さで比較しています。
カップの後ろの淵(壁)にボールが当たるくらいのスピードで打った場合は、ピンに当たるアングルとピンを擦るアングルの両方でピンが無い方がカップインする確率が高いというデータですね。
これはピン立て派に対するひとつの反旗を翻すデータになっています。
My Golf Spy.comで掲載されていたデータも載せておきます。
こちらは基本的には1990年にデーブ・ペルツがすでに行っていた実験の焼き直しですね。
ツールも同じもの (True Roller) を使っています。
「TESTED: FLAGSTICK IN (VS) FLAGSTICK OUT?」
クリックで元記事サイトの画像にリンクしてます。
ほぼすべての条件において、ピンを立てたままパットした方がカップインの確率は高い、という結果になっています。
ストロークの強さとしては、(カップがなかったら) 3フィートオーバーするスピード、6フィートオーバーするスピード、9フィートオーバーするスピード、の3種類です。
ピンに当たる角度としては、ど真ん中と少しずれてあたる位置の2種類。
ふたつ表がありまして、真っすぐなピンと、ハイコアになっていて下の方を補足してあるピンの2種類で行われています。
どちらの実験も、詳しくは書かれていませんが、平らなグリーンで行われた実験のようです。
これに加えまして、デーブ・ペルツの本に書かれている実験は、1990年に、グリーンの外からチップインを狙うケースを想定してグリーン上で True Roller を使って転がして実験されていまして、もっと条件は多く球数も多く実験されています。
スピードは3種類でMy Golf Spy.comのと同じ、3フィートオーバー、6フィートオーバー、9フィートオーバーの3種類で、エイミングとしては、ピンの中心、ピンの左右の端の位置に照準したもの、それからその間の位置に照準したものの5種類、さらに上りのラインと下りのライン、サイドライン、という実験を、2種類の違った芝のグリーンで行った、と書かれていました。
そればかりか、ピンが手前方向に傾いている場合、向こう側に傾いている場合、横向きに傾いている場合、なども想定してテストしたと書かれていました。
さすが元NASAの Researcherです。いつもながら半端ないです。
そして、そのほぼすべての条件において、ピンは立てたままの方がカップインしやすい、と結論付けています。
以前私のブログにも、ペルツ・コーチの実験をご紹介しています。
ご参考まで。 ↓
「ピンフラッグは「抜かずにお願いします。」の巻」
ゴルフのマッド・サイエンティストとの異名を持って呼ばれているブライソン・ディシャンボーはデーブ・ペルツの本は熟読していますから、このデータは当然知っていての発言だったと思われます。
ですから、ピンは立てたままパットしましょう。・・・と結論すべきところですが、私はモリナリの実験も踏まえてちょっと考えました。
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注目すべきは、パッティング・ストロークのスピードです。
デーブ・ペルツの信奉者の私としては、カップインする確率の一番高い「オプティマム・スピード」を思い起こさないわけには参りません。
カップがもしなかった場合に 17インチ (約43センチ) カップを過ぎるスピードが、
オプティマム・スピードです。
しかもパットのスピードの正確性は、ラインの4倍も大切です。
上記ペルツの実験は、チップインを狙った時を想定して、3フィートオーバー、6フィートオーバー、9フィートオーバーの3種類を測定したものです。
グリーン上でのボールの挙動は、最後のカップ付近では、チップショットでもスピンは消えて順転がりになっていますし、ロングパットでもショートパットでも、物理的にはボールは同じ挙動になります。
実際には、PGAのツアープロのグリーン上でのパッティングで、9フィートも6フィートもオーバーする場面は、そうそう目にしません。
つまり、My Golf Spy.comの実験はやや乱暴です。
しかしながら、ピンに当たってのボールの挙動を見るのですから、やや強く打った場合を想定しないことには仕方がないですけれどね。
オプティマム・スピードの、カップを 17インチ (1フィート半弱) オーバーするスピードから、2、3、4、5、6フィート (約1.8m) オーバーするくらいまでのスピードで実験をやり直したら、パッティングの際にどうするかの参考になると思うのですけどねー。
まぁでも、モリナリの実験がありますから、想像が付きます。
カップの後ろの淵(壁)にボールが当たるスピード、後ろの淵で空中に跳ね上がるスピードっていうのがどのくらいか、私がなりにスピードをチェックしてみました。
スティンプメーターで 9.5フィートぐらいのグリーンで、約 70-80㎝くらいオーバーする感じがカップの後ろの淵(壁)にボールが当たるスピード、そして、約 140-150㎝くらいオーバーする感じが後ろの淵で空中に跳ね上がるスピード、という感じでしょうか?
モリナリのお兄さんの実験は、実際のパッティングを想定していますから、5フィート (約1.5m) 以上過ぎて転がってしまうスピードは想定していないでしょう。
通常のツアープロのパッティングでは、余程の下りのラインでない限り 2m以上もオーバーしてしまう場面は、かなり長いラグパットであってもめったにお目にかかれません。
むしろ30mもあるパットもピタッと距離合わせて打ってきますよね。
そういう意味で言えば、ツアープロがグリーン上でパッティングするときには、ピンフラッグが立っていようがいまいが、ほぼ影響はないということになります。
ファーマーズ・インシュランスでのアダム・スコットは、ショートパットに至るまでほとんど全てのパットをピンフラッグ立てた状態でストロークしていましたが、これはおそらく、「ピンがあるからこそ細かく正確にエイミングできる。」とかそういう効果を狙ってのことではないかと思ったりしています。
例えば、カップ内でピンの幅の右端、とか、狙いをすごく細かく設定できますよね。
私自身のパッティングでどうすべきかと言えば、
1.ラインを読んで、自分がオプティマム・スピードに近いパッティングができるとジャッジした場合には、いかなるパットでもピンは必要ない。
2.ミドル・ディスタンスからショートのパットで、3フィート以内のオーバーで打てそうなラインでは、むしろピンを抜いた方が良い。
3.下りの度合いが読み切れなかったり、ロング・ディスタンスのラグパットでカップを3フィート以上オーバーしてしまう可能性があるパットの場合には、間違いなくピンフラッグが立っていた方がカップインの助けになってくれる。(もしピンに当たれば、ですが。)
という3本立てな感じになってこようかと思います。
これですと、同じ組の友人がどういう好みでプレーしていても、ピンの抜き差しはタイミング的に邪魔にならないと思います。 (^^)
from An Open-and-Shut Golf