20140816

ゴルフ大好きおやじの「GOLF DIARY」: 「全米プロゴルフ選手権」で見たスポーツマンシップ

8/10(日本時間8/11早朝)に行われた「第96回全米プロ選手権」で、優勝を争っていたロリー・マキロイ(北アイルランド)と1つ前の組のフィル・ミケルソン、リッキー・ファウワー(米国)の間で、スポーツマンシップに則った会話、行動があり、優勝したマキロイはインタビューで彼らを何度も称え、感謝の言葉を贈った。




同大会の最終日は、朝から豪雨による中断があり、最終組のマキロイがスタートしたのは午後4時19分だった。バックナインに入った頃には夕闇が忍び寄り、刻々とその濃さを増していく。終盤は1打を争う優勝争いという展開となっただけに進行も遅れ、大会関係者も日没サスペンデッドを覚悟していたという。そんな状況の中、17番のバーディで後続との差を2打差に広げたマキロイは、最終18番(パー5)のティグラウンドに上がった。1組前のファウラーとミケルソンはまだティショットを打つ前だった。その時マキロイは「18番ティで待っていたら、どんどん暗くなってしまう」という不安がよぎったという。もしサスペンデッドになって、最終組のマキロイだけが、翌月曜日に18番ホールだけプレーすることになれば、流れが変わってしまい(雨の中かもしれない)、優勝争いもどうなるかわからない。

ところが、ここでマキロイは、ティショットを打ち終えたファウラーから合図をしたら(ティショットを)打ってくれ」という思わぬ言葉を聞いた。進行を早めるため、自分たちが2打目を打つ前にマキロイにティショットを打たせるというのだ。更に18番ホールのグリーン上でファウラーは、入れればマキロイに追い付くイーグルパット、ミケルソンは同じくチップインならマキロイに追い付く3打目のアプローチを残しながら、わざわざプレーを止めてグリーンを空け、視界のあるうちにマキロイに2打目を打たせたのだ。そして結果は、ファウラーはパー、ミケルソンはバーディ、そしてマキロイはパーでホールアウトし、ミケルソンに1打差、ファウワーに2打差をつけてマキロイが勝利を挙げた。



マキロイは 「彼らの品位や人格をよく表していた行動だった。2人のすばらしいスポーツマンシップに感謝したくて、優勝スピーチで何回も(感謝の言葉を)繰り返したんだ」と話した。ファウラーは 「(サスペンデッドの)ホーンが鳴ったときに、ティショットさえ打っておけばホールアウトが許されるからね。だから打たせたんだよ」と語った。



多分観客は、開催国であるアメリカ人選手であるミケルソンとファウワーを応援していたと思う。北アイルランドのマキロイにはアウェーだっただろう。しかし選手たちの間には、こんな素晴らしいスポーツマンシップのドラマがあった。特にマキロイとファウワーは同じ25歳で、これからの世界のゴルフを引っ張っていく選手だ。ファウラーは大会後に自身のツイッターで「マキロイおめでとう!バック9のような素晴らしいゴルフを続けて行こう!」とマキロイに対してツイートを送り、これに対してマキロイは「リッキー、君の日は本当にすぐそこに来ているよ!これからもたくさん良い戦いをしよう」とリプライした。



現状ではマキロイが一歩抜け出した形だが2人の戦いはまだ何十年も続いていく。2014年の全米プロはマキロイのメジャー2連勝というドラマだけでなく、こんなにも素晴らしいスポーツマンシップがあった。 from ゴルフ大好きおやじの「GOLF DIARY」