伝説の名匠が10年ぶりに設計
沼沢雄二さんというクラブデザイナーをご存知ですか?
パーシモンの時代に、日本のツアープロの9割が沼沢氏の製作したクラブを使っていたという伝説的な名匠です。
ブリヂストンと契約してからは、「倉本モデル264」をはじめ、数々のクラブをつくられ、最近だとアクセスなんかが有名です。ドライバーのライ角を60度以上にしたのは、アクセスが最初らしいです。
僕は、全盛期を知っているわけではないですが、ゴルフをはじめて間もないころは、沼沢モデルのパーシモンやチタンドライバーがとても有難がられていました。高額な値段も含めて、雲の上の存在といったところです。
ブリヂストンと契約終了後は、クラブデザインへのモチベーションを失った時期もあったといいますが、この秋に沼沢デザインとしては10年ぶりにクラブがリリースされました。それがこの「アームスゲイン」パターです。
沼沢氏によれば、パターのデザインは本当に特別で他のクラブとは比較にならない繊細さが必要なのだとか。80年台半ばに米国に渡った時、ジーン・サラゼンとカーステン・ソルハイムの勧めで、パターデザインのノウハウを学んで以来、いつかパターをつくると心に誓っていたそうです。それが30年後に実現するとは、なにか運命めいたものを感じます。
SM-490A素材を採用
これほどドラマチックな背景を持つパターを手に入れないわけにはいかず、10万円近い値段でしたがクリスマスプレゼントとお年玉を兼ねて、購入しました(汗)
沼沢デザインのクラブといえば、非常に高額なことでも有名。パターが一本10万円なら、沼沢モデルとしては安価なのかなという気もします。でも、まあ高いです。
バックフェースにはお馴染みの、といっても知らない人も多いかもしれませんが、「yn」マークがあります。
NC加工による削り出しで製作されていますが、軟鉄系の「SM-490A」という素材を採用。これが、非常に軟らかく手応えのある打感で、打った瞬間に魅了されました。素材だけではないと思いますが、素晴らしく心地よい打感と打音です。
「SM-490A」は以前一部のパターで採用されていたようですが、これまであまり使われていない模様です。もともと船舶部品などに使われることの多い素材らしいですが、今後採用するメーカーが出てくるかもしれません。
形状の美しさと機能性
一見、オーソドックスなアンサー型に見えますが、細部にわたって沼沢氏のこだわりがあるといいます。
なにかの人間国宝みたいな人が、沼沢デザインのクラブを見たら、自分はゴルフは知らないけれど、これらの道具は造型として美しいと言われた、みたいな伝説もあり、とかく美的なデザインに長けているのが沼沢デザインの特徴と言えそうです。
その中で、道具としての機能が優れているのも特徴です。座りの良さや錯覚を利用した構えやすさはもちろん、フェースターンが穏やかで、ボールを目標方向に打ち出しやすくなっているんだとか。
言われてみると、操作のしやすさやボールの転がりの良さと直進性など、機能の良さを確かに感じます。見た目は同じようなアンサー型パターでも使ってみると随分違うものです。とても扱いやすく、カップインしやすいパターだと思います。
良いパターに共通するのは、道具が感性を呼び覚ますというか、自然とフィーリングがでて、タッチを合わせやすい、カップインを狙いやすくなるという、なんというかパターが語りかけてくれるようなところがあります。ベタな表現ですけど。
構えた時に、クラブとしての存在感というか奥行きを感じます。
初ラウンドから、わりとよく入ってくれましたが、単にパット数が少ないとかではなくて、自分の感覚が冴えてきて、ボールの転がりがよりコントロール出来るような感じがいいですね。
最近、パターフィッティングが流行りはじめていますが、その時の自分のストロークに合わせてパターを選んでも、パターに合わせられているというか、少なくとも道具が感性を目覚めさせてくれるような感じはないと思います。
もちろん、ある程度はフィッティングが必要だと思いますが、スライサーがフックフェースのドライバーを使うようなもので、結果の補正にはなっても、スイングは良くならないというか、上達する方向には向かわないのではないかと。あくまでも個人的考えですが。
現代は、図面を引けない、CADも扱えないような人でもゴルフクラブを作ることが出来ます。それを否定するわけではないですが、精密な図面を引き、いくつものモックを作って、長い年月をかけて、ひとつのデザインを構築する昔ながらのクラブデザイナーを、もっとリスペクトしても良いのではないかと感じました。
きっとそこにしか出せない味があると思います。
<公式サイト> armsgain.jp
from 東京ゴルフギア旅団