20160703

◆絶滅危惧種のゴルフクラブ創ります: 昨今のゴルフクラブ事情◇ドライバー


多くのドライバーは長尺化の中にあります。
47インチのモノも見受けられますが
やはりユーザーの中ある
「ヘッドスピード神話」というのが
それをさせているのかと思います。
rad-04

これは参考例としての長さとヘッド重量、
 そして計算上のヘッドスピード増加量です。
  ☆スイングウエイトで言うところの D-00を作る参考例です。
 
44インチ   204g  基準ヘッドスピード38.0
45   192
(6%減)       38.6
46   180
(12%減)      39.2
47   168
(18%減)      39.8


 ヘッドスピードで言うと 44と47インチで
3インチですから 約8センチの長さの違いで増加する
ヘッドスピードは 2ms前後です。
と同時に ボールに当たる部分のヘッドは30g近く
20%も減少して伸びるヘッドスピードはたった5%です。
ボールを打撃する破壊力には二乗計算が入るとは言え
その係数の一方が20%減って、増える方が5%では
計算しなくても 破壊力総量が減っているのは明らかです。

それと同時に長尺には二つの大きな欠点があります。

まずはゴルファーは全員感じている
「扱い辛さ」
長尺になって 扱いやすく感じている人は
よほど結果が伴わない限り多くは無いでしょう。
この長さが ドライバーをあまり好きではない
の主な原因になると思います。

次に 長尺はとても風に弱いのです。
風邪に弱いのは「弾道」ではありません。
スイングに! なのです。
現代の460㏄前後の大きさでは
実はスイングする際の ヘッドの全映投影面積よりも
シャフトの投影面積の方が20%位多く、
シャフトの長さはスイングする際の風の影響を
とても受けやすい状態なのです。
そんなこともあって 風が強く荒野のようなコースの多い
ヨーロッパの選手に長尺は少なく、
箱庭の人工的な設計のコースが多いアメリカの選手の方が
長尺は多いのです。


でも やっぱり長尺の方が飛ぶじゃん!
5番ウッドより3番、3番ウッドより1番の方が飛ぶじゃん!
と思われるゴルファーも多いと思いますが、
その秘密は「単純にロフト角度」の問題なのです。
前述の通り、打ち手のスピードの増減も含め
ショットとしての破壊力は長尺にしても
減ることはあっても増えることはありません。
その破壊力を「ロフトによって」より
距離…ボールスピードに変えられるかどうか
 というのが長尺化の唯一の利点なのです。
長尺にすると 入射角度が緩くなり、若干ですが
ヘッドスピードも上がります。
それによって 打ち出し角度が取りやすくなります。
ヘッドスピードのアップも伴ない、それを考慮に入れて
以前よりもロフトの少ないものが使えるチャンスがあれば
飛距離を伸ばすことが出来る というのが
ドライバーに限らず、クラブの大原則なのです。
スナップショット 2 (2016-07-03 0-22)

そうですね、例えば 5番アイアンをヘッド重量等揃えた上で
ウエッヂの長さにすると
ボールの地面を転がり抵抗を無視すれば
元の5番アイアンの長さと同じような距離にはなります。
元の長さで 150Yキャリー 転がり0 と仮定すると
ウエッヂの長さだと 90Yのキャリーと60Yの転がり
みたいな感じです。
でも実際には転がり抵抗はかなりのものですから
元の長さよりも少ないキャリーになってしまいます。
そう言った意味合いなのです。


!!!!!!!
なら ロフトの少ないものにすれば飛ぶじゃん!
って思いそうですが、ここには罠があります。
ドライバーをより飛ばしたいのは
 ゴルファー全員の望み ナノは間違いありませんが
長尺化してまでも 距離を望むゴルファーの多くは
いえ 日本のゴルファーの95%以上が
ヘッドを振り回して、上を向いて、大きなロフトで
左右の曲がりや回転に関係なく こすって打っています。
そのこすって打っている人が
ヘッドスピードを増やすことを主目的にして
より振り回しやすいヘッドの軽い長尺をもって
ロフトを1度少なくしたところで
距離が延びることはなく、
逆に減るのではないかと思います。

長尺にした分、上を向いてインパクトする度合いも
増えますし、今までよりもより速く動こうとしますから
よりミスも増えるでしょうし、
ヘッドが軽くなっていることにより
打撃の衝撃に緩和度も減っていますから
肘や手首を痛める率もあがるでしょう。

ヘッドターンが主流の昨今では
10回に一回位は以前より ちょっとだけ飛ぶ可能性も
あるにはあると思いますが、
平均飛距離は今までよりも落ち
ミスの割合やミスの激しさも増え
挙句の果てに 肘や手首を痛める…。
まあ そんなところでしょう(;´д`)

元々 軽量スチール&軽量ヘッドのアイアンとの相性が
最悪の大型ドライバーを
更に軽量長尺にして、ドライバーだけでなく
アイアンやアプローチ、パターまでダメにしてしまう
スイング破壊兵器に成り得るセッティングです。

正直 億害あって一利もありません…。

まして その軽いヘッドの長尺に 
ヘッドのロフトやライを変えられる
機能のついたものなど
性質の悪いジョークかと思ってしまいます。
from ◆絶滅危惧種のゴルフクラブ創ります